しつこい倦怠感の原因は「うつ」じゃなくて副腎疲労?

毎日きちんと睡眠時間を確保しているのになぜか疲れが取れない、いつも倦怠感に襲われているなど、原因不明の不定愁訴に悩まされている方もいらっしゃるかと思います。
不定愁訴には様々な要因が隠されているのですが、今回はその中の1つでもある「副腎疲労」にスポットを当ててみましょう。

実はこの記事を執筆している私も、自分では「うつだ!、鬱になってしまった!」と思い込んでいたのですが、実際に受けた診断では「副腎疲労」でした。

もしかすると、あなたの疲れや倦怠感の原因も副腎疲労にあるかもしれません。
副腎の役割や副腎疲労の特徴、治療方法や食事で気を付けるポイントなどについて詳しくご紹介していきます。
副腎疲労かもしれないと考えている方は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。

Contents

そもそも副腎とは?

副腎疲労についてご紹介していく前に、まずは副腎がどのような臓器でどんな役割を持っているのか、ご紹介していきましょう。

副腎疲労

副腎とは、腎臓の上にある三角形の形をしている臓器です。
大きさはかなり小さく、周りには腎臓以外にも肝臓や脾臓、膵臓、さらに腹部大動脈や下大静脈などが見られます。
どちらかというと背中側にある副腎は外側の「皮質」という部分と内側の「髄質」という部分から構成されていて、それぞれの部位で役割が異なっています。

皮質の役割

副腎皮質の役割は、コルチゾールやアルドステロンというホルモンを産生し、分泌することです。
コルチゾールは、体の様々な部位で発生している炎症を発見した時にコルチゾールからコルチゾンという成分に変わることで炎症を抑えてくれる力を持っています。

さらに炎症を抑えながらその部位に発生しやすい筋肉の強張りや凝り、痛みなどを予防してくれるのです。
また、コルチゾールが分泌されるとインスリンが持つ働きを抑制するようにします。

インスリンの働きを抑えるのは良くない効果なのでは?

と思ってしまうかもしれませんが、インスリンの影響が大きい場合、血糖値が著しく上下することがないため、蓄積している脂肪をエネルギーに変換しやすい状況を作ってくれるのです。
他にも、コルチゾールはストレス耐性を高める働きを持っていたり、糖を体内で使用する際の調節や血圧の維持など、様々な働きを持っているホルモンでもあります。

同じく副腎皮質から分泌されるアルドステロンは、体が健康的に維持するために必要な水分と塩分・カリウムのバランスを維持するために必要なホルモンです。

コルチゾールもアルドステロンも、どちらも体にとっては非常に重要なホルモンなので、万が一副腎が病気にかかってしまい副腎摘出を行う必要となった時は、コルチゾールの働きを行う医薬品を必ず飲まないと体を正常に維持することが難しくなってしまいます

髄質の役割

副腎髄質の役割としては、アドレナリンやノルアドレナリン、ドーパミンを産出し分泌することが挙げられます。
これらはまとめてカテコールアミンとも呼ばれており、それぞれが体内にとって重要な役割を示しています。

まず、アドレナリンは副腎皮質で分泌されているホルモンのおよそ8割を占めており、アドレナリンが分泌されることによって心臓の心収縮力を高めることで心拍出量が増加し、血圧を上昇させます。
一方、ノルアドレナリンは心臓ではなく血管の平滑筋に指示を出して細動脈を収縮させる働きを持っています。
血管の細動脈は主に手足などの末端にあるため、ここの細動脈が収縮することにより血圧が上昇します。

アドレナリンもノルアドレナリンも、どちらも血圧は上昇されるのですが、大きな違いとしては心拍数が上がるか、末梢血管の抵抗力が高まるかという違いとなるでしょう。

副腎はこのように、体を正常に維持するために必要なホルモンを産出・分泌する重要な臓器と言えます。
しかし、そんな副腎が疲労してしまう「副腎疲労」とはどのような病気なのでしょうか?
続いては副腎疲労についてご紹介していきましょう。

副腎疲労とは?

副腎疲労とは、日常生活を送るためにも必要なホルモンの分泌力が低下してしまい、様々な不調をきたしてしまう症状を指します。

副腎疲労の原因
なぜ、副腎疲労となってしまうのでしょうか?
その原因についてまずは見ていきましょう。

副腎疲労の原因

副腎疲労の原因として最も考えられるのは、副腎がホルモンを過剰に分泌しすぎたせいで副腎がオーバーワーク気味になり、分泌力が低下してしまうという点です。
上記でもご紹介したように、副腎からは様々なホルモンが分泌されていますが、中でもオーバーワークになって過剰に分泌されやすいのが、コルチゾールです。

コルチゾールは様々なストレスから体を守ってくれるホルモンでもあります。
何かしらのストレスを体が受けてしまうと同時に副腎からコルチゾールが分泌され血液中を巡り、全体に行き届くようになっています。

ストレスというと精神的なものをイメージする方も多いかと思いますが、実際には様々なものが体にとってストレスになる場合もあるのです。
例えば大気汚染により汚れた空気を吸い込んでしまうと、体はストレスを感じてしまいコルチゾールを分泌します。

食品添加物

その他にも、食品に含まれる添加物を多く摂取したり、気温の寒暖差によるストレス、食生活の変化や持病など、体内で炎症を引き起こしてしまう可能性があるものは全て体にとってのストレス

全てのストレス要因に対して副腎は反応し、コルチゾールを分泌することになるので、ストレス要因の多い環境にいるとどうしても副腎は過剰な働きをしてしまい、副腎疲労につながってしまいます。
副腎疲労は主に副腎の働きすぎて機能が低下してしまうことを言いますが、その前段階として過剰にホルモン分泌されることでも体には様々な反応が起きます。

少しでも体調がいつもとは違うと感じたら、なるべく体に無理をさせないようにすることが大切です。

副腎疲労になる流れ

副腎疲労に至るまでの流れをもう少し詳しくご紹介していきましょう。
まず始めに起きるのが、様々なストレス要因に対してコルチゾールが過剰に分泌されることです。

この状態はコルチゾールの分泌量が知らないうちに増えてしまっているので、徐々に副腎に疲労が蓄積している状態になります。
まだ仕事や家事などに対するやる気はあるので、無理して続けようとするケースがほとんどですが、できればこの段階になった時点で体を休ませることが重要となります。

ストレス

コルチゾールの分泌量が増加すると、コルチゾールと同じ原料で作られるテストステロンが体内で生成できなくなり、減少していきます。
また、テストステロンを材料にしているエストロゲンも減少してしまうため、テストステロンやエストロゲンが減少した時に見られる症状が起こり始めます。

次に、副腎の疲労がどんどん溜まっていき、分泌する力が弱まってくると、体のストレス耐性も弱まってストレスが体に影響しやすい状況を作り出してしまいます。
この状態でストレスを受けると、また副腎に負担がかかってしまい、副腎機能はますます低下してしまうという悪循環に陥ってしまうのです。

最終的に副腎疲労となって副腎がうまく機能しなくなると、社会生活を送るのも難しい状態になってしまいます。

仕事に行けない、家事ができないという状況になり、自身だけではなく周りの人もようやく気が付くレベルで体の異常が感じられるようになるでしょう。
副腎疲労の怖いところは、本人や周りの人が気付きにくいという部分です。

なぜ気付けないのか、副腎疲労になるまでと副腎疲労になってから見られる症状で分かります。

副腎疲労で見られる症状

最初に、副腎疲労に陥る前、つまり副腎がオーバーワークして過剰にホルモンを分泌している時の症状にはどのようなものがあるか見ていきましょう。

コルチゾールの過剰分泌で見られる症状としては、まず高血圧や体重の増加、顔のむくみなどが発生します。
これは、コルチゾールには血圧を正常に維持するという働きを持っているためで、過剰に分泌されてしまうことで高血圧につながり、顔のむくみなどにつながってしまうのです。

この他にも、顔が紅潮しやすくなったり、ニキビが増えたり、肥満(特にウエスト)が見られるようになります
ニキビが増えてしまうのは、高血圧は血管が収縮している状態であり血液の流れが制限されているため、老廃物が溜まりやすくなりニキビとなって表れていると考えられます。

また、同じく副腎皮質から分泌されるアルドステロンが過剰分泌することによって見られる症状もあります。

それは、高血圧や糖尿病です。

高血圧の約1割はアルドステロンが過剰に分泌される原発性アルドステロン症が関係していると言われています。
アルドステロンが過剰に分泌されてもすぐに糖尿病になるというわけではありませんが、放置している糖尿病になる可能性が非常に高まるため、十分に気を付けなくてはなりません。

倦怠感

さらにコルチゾールが増加することでテストステロンとエストロゲンの分泌が低下するとご紹介しましたが、テストステロンの減少によって感情の浮き沈みが激しくなったり、性欲が減少したり、集中力・認知力が低下したりするなど、様々な症状につながっていきます。

場合によってはうつに近い状態になってしまい、副腎疲労と同時に治療していかなくてはならない可能性もあります。

エストロゲンの分泌が低下すると、女性の更年期障害で見られるような症状が表れます。
例えば、鬱々とした気分やイライラとした気分になりやすかったり、顔が火照っているにも関わらず末端の冷えがひどいなどといった場合はエストロゲン低下が考えられるでしょう。

副腎疲労となり、コルチゾールの分泌が低下すると、慢性的な疲労や朝起きられなくなってしまうなどの症状が見られるようになります。

また、続けてうつのような症状が見られたり、強いめまいを引き起こして突然倒れてしまったりすることもあります。
周りの人からすると、やる気がないだけに見られてしまうかもしれませんが、本人の中にあるやる気スイッチを押したくても押せない状況になってしまっているので、立ち上がることすらできない場合もあるのです。
そのため社会生活を送ることも難しくなってしまいます。

上記の症状を見てみると、本人や周りの人から見ても気付きにくいということが分かっていただけたかと思います。
副腎がオーバーワークしている時の症状も、ただの不調だと認識されやすく、病院に行かない人の方が多いでしょう。
特に、元々現在働き盛りの年代、30~40代で高血圧気味の方や肥満の方だと、なおさら気付きにくく副腎への負担も増加してしまうと考えられます。

副腎疲労を起こしやすい人の特徴

副腎疲労を起こしやすい人の特徴としては、やはりストレス要因が多い環境にいるということが挙げられます。
現代の社会においてストレスのかからないことはほとんどありませんが、そんなストレスを自分一人で抱え込んでしまっている人が副腎疲労を起こしやすいのです。

例えばサラリーマンの方の場合、昇進し管理職に就けばその分責任も大きくなってくるので仕事でミスしないように気を配らなくてはなりませんし、家庭においても子どもの教育費や住宅ローンなど、経済的な負担がストレスに感じられることもあります。

サラリーマン ストレス

また、管理職でなくても昇進できないことがストレスに感じている方もいるかもしれません。
もちろん、男性だけではなく女性の社会進出も増えたことで男性と同じようなストレス環境に身を置く女性も増えており、その結果副腎疲労に陥ってしまう女性も増えてきています。
うまくストレスを解消できれば問題ないのですが、ストレスが発散できずに一人で抱え込んでしまうと副腎にかかる負担も大きくなってしまうのです。

副腎疲労の治療は何科を受診すべき?

今回の記事を読んで、「もしかしたら自分の疲れが取れない原因は副腎疲労にあるのかもしれない」と思われる方もいらっしゃることでしょう。
もし、副腎疲労の可能性がある場合、治療は何科を受診すべきなのでしょうか?

まずは病院を受診する前に、1週間程度の休暇を取ってみましょう。

1週間の休暇を取ったら症状が改善されたという場合は、急性的な疲労による症状だった可能性が高いです。
それでも治らなかった場合は、内科を受診しましょう。

naika

内科ではホルモンの分泌に異常がないか、副腎機能が低下していないか検査を行っていきます。
異常が発見されれば内科で治療を行い、副腎疲労の改善に努めていくことになります。

一方、万が一最低でも1ヶ月間治療を行っているにも関わらず改善が見られないという場合はうつ病などの精神的疾患である可能性が高いため、心療内科で治療を行っていきます。
まずは内科へ受診し、それでも改善されない場合は心療内科という流れになるでしょう。

副腎疲労かどうか、チェックしてみよう

自分が副腎疲労を起こしているかどうか知りたい方も多いかと思います。
続いては、副腎疲労の診断方法やセルフチェックの方法をご紹介していきましょう。

副腎疲労を診断する検査方法

副腎疲労を起こしているかどうかは、病院の検査で知ることができます。
病院では一般的に尿検査や血液検査で体の状態を見ますが、副腎疲労は血液検査だけでは正確に判断することが難しいとされています。

そこで有効となるのが唾液検査で、唾液やコルチゾールの分泌量や分泌パターンから副腎疲労を起こしているか判断可能です。
分泌パターンを正確に把握するため、1日4回唾液を摂取します。
では、コルチゾールの正常な分泌量や副腎疲労のパターンを見てきましょう。

コルチゾールが正常に分泌されている場合
コルチゾールの分泌が正常である場合、朝に一番多く分泌され、夜にかけてどんどん分泌量が下がっていくパターンとなります。

副腎疲労を起こしている場合
副腎疲労を起こしている場合のコルチゾールの分泌パターンは色々ありますが、特に多いのが朝の時点で分泌量が少なく、夜にかけてもっと低くなっていくというパターンです。
また、疲労感があっても夜に目が冴えてしまい、寝つけず朝が辛いと感じる人は、朝から夕方までは分泌量が高く、夜にかけて急激に分泌量が増えるというパターンになります。

副腎疲労のセルフチェック

自分がどのくらい副腎疲労を起こしているのか、簡単なセルフチェックによって把握することも可能です。
ここで大まかに疲労度を確認し、必要に応じて唾液検査を行いましょう。

では、次の39の項目から「当てはまらない」、「時々当てはまる」、「当たる」、「よく当てはまる」の4つに分けてください

・不安な気持ちになることがある
・気分が落ち込みやすい
・トイレが近い
・集中力がなくソワソワしてしまう
・頭痛になりやすい
・イライラしやすい
・突然、怒りが爆発することがある
・歯ぎしりをしたり、顎が痛くなったりする
・虚しさや脱力感、毎日が退屈と感じる
・物忘れが多い、記憶が曖昧になることが増えた
・最近、体重が増加して
・顔や体の筋肉が痙攣する
・首コリや肩コリになりやすい
・光が前よりも眩しいと感じられる
・性欲が減ってきている
・カフェインを摂取しないと目が冷めない
・便秘になりやすい
・脂っこい食事が好き
・甘いものを食べたくなることが多い
・塩辛いものが食べたくなることがある
・胃がムカムカし、吐き気を感じる
・食事を抜いてしまうとイライラする
・目がかすみやすい
・喉が渇きやすい
・眠りが浅い、寝付きが悪い
・朝起きることが困難で目覚めもすっきりしない
・ため息の回数が多い
・アレルギーや花粉症が前よりも悪化している
・高血圧、もしくは低血圧になりやすい
・慢性的な疲労感を感じる
・顔がむくみやすい
・心拍数が早くて動悸がする
・重度の冷え症である
・PMSや更年期障害が悪化している
・疲労感はあるのに、夜になると目だけ冴える
・お腹にガスが溜まりやすい
・胸やけを起こす
・便の回数が安定しない
・関節が痛かったり腫れたりする、もしくは痛みが悪化している

「当てはまらない」もしくは「時々当てはまる」に該当する項目が多い場合、副腎疲労を起こしていない、もしくは軽度の副腎疲労に該当します。

「当てはまる」の項目が多いほど、副腎疲労は中度に該当するので警戒しましょう。
「よく当てはまる」の項目が多いと重度の副腎疲労を起こしている可能性が高いので、病院での唾液検査や治療・改善が求められます

副腎疲労の治療方法

副腎疲労は命に直接関わる病気ではないもの、原因不明の体調不良が続いてそれが他の病気になるリスクを上げてしまう可能性もあるので、好ましい状態とは言えません。

上記のセルフチェックで副腎疲労が疑われる場合は治療や改善が求められますが、病院ではどのような治療が行われるのでしょうか?
副腎疲労では「ヒドロコルチゾン(コートリル)」と呼ばれるホルモン剤を使用します。

内服量は10から20mgですが、肥満予防のために成人の推奨維持量は15mg/日です。

コルチゾールは朝に多く分泌される状態が正常なので、ホルモン剤は朝2:夕1の割合で摂取していきます。
発熱が外傷などのよるストレスに晒されている場合は急性副腎不全のリスクからグルココルチコイドの内服量を通常よりも2~3倍、麻酔が必要な手術は10倍以上に増やします。

なお、副腎疲労が軽度だとホルモン剤の使用が不要の場合もあるでしょう。
妊娠の方も同様の治療となりますが、妊娠初期でのホルモン増量は胎児奇形のリスクがあるので緊急時のみ増量されます。

甲状腺と副腎疲労の関係性

喉にある甲状腺は新陳代謝の促進に関わるホルモンを分泌させる部分です。

甲状腺

バセドウ病(甲状腺機能亢進症)や甲状腺中毒症など甲状腺の病気になると、血中のコルチゾールが分解されて低下したり、交感神経の活性化によりコルチゾールの産生が増えたりして、これにより副腎疲労が悪化する恐れがあります。

では、甲状腺と副腎疲労の関係性を見ていきましょう。

甲状腺の病気のリスクが上がる
コルチゾールはステロイドホルモンの1つで、自己免疫を抑制する作用があります。
そのため、副腎疲労を起こすと自己免疫性甲状腺疾患の発症リスクが上がり、発症すると疲労を悪化する関係を持っているのです。

バセドウ病(甲状腺機能亢進症)との関係性
副腎疲労を起こした状態でバセドウ病を合併した場合、大量の分泌された甲状腺ホルモンの影響で副腎皮質のホルモンの分泌が進み、その影響でコルチゾールが低下して副腎疲労を悪化させます。
また、全身の倦怠感や筋肉低下、体重の減少、脱毛などの症状が表れるでしょう。

無痛性甲状腺炎
無痛性甲状腺炎は甲状腺中毒の中でも比較的に多い疾患ですが、軽度でも副腎疲労を悪化させるので注意しましょう。

亜急性甲状腺炎
亜急性甲状腺炎は甲状腺に炎症ができる病気で、急性よりも長引くものの、慢性的に続くことはありません。
ただ、炎症と甲状腺中毒症の影響で副腎皮質ホルモンの需要量が増え、それにより急性副腎不全症を発症することがあるのです。

副腎疲労を起こしている場合、自己免疫が衰えるため甲状腺の発症も注意しなければなりません。
甲状腺の病気を併発すると疲労はどんどん悪化するので、早めに改善対策を行いましょう。

食事で副腎疲労を改善することはできる?

ストレスは副腎疲労の原因になりやすいのですが、副腎疲労の予防として副腎を元気する方法はあるのでしょうか?
ここからは、副腎をケアするために積極的に食べて欲しい食材などをご紹介していきます。
副腎疲労の改善に役立ててみてください。

良質なたんぱく質や脂質

副腎に良いと言われている食材は、ホルモンや組織などを作るたんぱく質や脂質です。
たんぱく質は鶏肉や豚肉、または牧草飼育で育った牛肉をおすすめします。

牛肉

魚類は重金属を蓄積しやすい大型魚のマグロ以外の魚を、焼き魚や煮魚などシンプルな調理方法で食べるようにしましょう。
オメガ3脂肪酸を含むアジやさんま、いわしなどの青魚は体に良いと言われています。

さんまやいわしなどを海鮮サラダやカルパッチョなど生魚で取り入れてみるのもおすすめです。

イワシ さんま

一方、良質は脂質に分類される食材は青魚以外に、えごま油やアマニ油などがあります。
主にオメガ3系と呼ばれるオイルが該当しますが、オリーブオイルやココナッツオイルなども中鎖脂肪酸が豊富なので加熱調理に取り入れるとより効果が期待できるでしょう。

香味野菜やスパイス

肝臓は主に重金属などの有害物質を取り除く器官になりますが、現代人の多くは様々なストレスを抱え肝臓の疲労が解消しきれない状況に陥っている方も多いようです。
肝臓で有害物質がうまく解毒されないと、各臓器に毒素が広まっていき炎症を起こしやすくなります。

副腎にも負担がかかってしまうため、ニンニクやショウガ、玉ねぎ、パクチーなど香味野菜で解毒作用するようにしましょう。
ハーブ、スパイスなども同じ役割があるので積極的に食べるようにしてください。

パクチー

ビタミンB群やミネラル

ビタミンB群はホルモンの生産過程において大量に消費される成分の一つです。
副腎疲労の方はビタミンB群が不足しやすいので、玄米や豚肉、貝類、海藻、卵などをたくさん食べるようにしましょう。

葉酸はビタミンBの中でも造血作用や新しい細胞を形成するために必要な成分です。
うなぎや貝類、かぼちゃやにんじんなどの緑黄色野菜を多くとり入れるようにしてください。

緑黄色野菜

副腎疲労の方はビタミン群と同様にミネラルも不足しがちです。
腸の不調を訴えることも多く、ミネラルが腸にうまく吸収できないため不足しやすいと言われています。

ですから、ミネラルが豊富に含まれている海に生息している貝類や海藻などを積極的に食べるようにしましょう。

また、ナトリウムや亜鉛、カリウムなどは新陳代謝を良くし免疫を調整するなど副腎を正常に稼働させるために欠かせない成分です。
ミネラルと一緒にこれらの栄養素もバランス良く食卓に取り入れるようにしてください

1日約1.5リットルの水分をとる

私たちの体には非常にたくさんの水分が含まれています。
年齢と共に体の中に含まれる水分の割合は少なくなっていきますが、成人の場合は約60%が水分と言われています。

体内の水分は体中に栄養を運ぶ役割も持っていますが、不要な老廃物や毒素を体外に排出する働きもあるため、水分をたくさんとりデトックス効果を高めるようにしましょう。
1日1.5リットルを目安に、1日の中でこまめに分けて飲むようにしてください。

水

ミネラルを多く含んでいる水や粉末状のミネラルサプリを水に溶かして飲めば、副腎に必要なミネラルと水分を同時に摂取することができます。

副腎疲労を改善する、食事以外のポイント

ここまで副腎疲労を改善するための食材についてご紹介してきましたが、次は食事以外で気を付けたいポイントを見ていきましょう。

睡眠をたっぷりとる

副腎疲労の方は寝ている間、精神的ストレスから解放されることができるので睡眠はとっても大切な要素です。
最近「寝だめは意味がない」という説があるようですが、副腎疲労の場合は効果が期待できます

昼寝の時間が持てるようなら積極的に取り入れてみましょう。
ただし、昼寝に対して罪悪感を感じる方は逆効果になる場合もあるので注意しなければなりません。

睡眠

上記のような方は昼寝をポジティブに捉え、家族や友人の前で元気な姿を見せるためと考えるようしてみてはいかがでしょうか?
一方、夜間の睡眠は成長ホルモンやメラトニンなどが分泌されるので、遅くとも0時までには寝るようにしましょう。

仕事などで睡眠時間が足りていないという方は、寝室の環境を変えて睡眠の質をアップさせるようにすることも重要です。
照明をつけた寝室はメラトニンが光分解されてしまうため、真っ暗な環境で寝るようにすることをおすすめします

テレビやパソコン、スマホなど電磁波が流れる電子機器はできるだけ寝室には置かないようにすることも大切です。

入浴効果を高めるエプソムソルト

副腎ケアは入浴タイムを持つこともポイントになります。
入浴は体をリラックスさせるだけでなく、デトックス効果もあります。

夏場はシャワーで済ませる方も多いようですが、副腎疲労を改善させたい方は入浴を習慣化させましょう。
体が温まると毛細血管が拡張し血流が良くなり、毒素を体から出してくれるので毎日お風呂に浸かるようにしてください。

入浴

入浴効果をさらに高めるおすすめの方法は、エプソムソルトです。

エプソムソルトとは硫酸マグネシウムのことで、発汗作用がさらに強まりマグネシウムによって神経細胞の興奮を静めてくれる作用があります
エプソムソルトは体内の毒素を排出するのではなく、溶け出すので何回か繰り返し浴槽に浸かることができます。

このように副腎疲労は食事法だけでなく、睡眠や入浴など普段の生活習慣を見直すことで改善させることができます。
それほど難しい解決策ではないので、さっそく実践してみてはいかがでしょうか?

副腎疲労は健康診断や自分では発見できない現代人に多い症状の一つです。
ストレスや睡眠不足、栄養不足などが原因と言われていますが、何をしても疲労が抜けない、集中力がもたないといった体の不調に悩む方も少なくありません。

副腎疲労に陥る人の人数は今後さらに増え続けるだろうと言われているため、自身で副腎を元気にするケアを行うようにしましょう。
食生活を少し変えてみたり、睡眠時間を多くとるようにするだけで症状が回復することもあります。
自分の心と体と常に向きあいながら、副腎疲労対策を取り入れるようにしましょう。

まとめ

いかがでしたか?
うつのようにやる気がでない、しつこい疲れがなかなか取れない。
そんな場合は副腎疲労が原因であることが多いようです。

私はとにかく朝起きるのが苦痛でした。
目を開けようとしてもなかなかスッキリ目覚められない・・・
仕事も集中してやることができない・・・

はじめはそんな自分の体調の変化を「怠け心」であるとも思っていました。
そんな時、たまたま耳にし受けてみた副腎疲労検査。
検査結果を聞いて、「副腎疲労」と言われたときは、「うつじゃなかったんだ・・・」と多少ホッとしたのと同時に、原因がわかって安心しました。

症状から私のように自分でうつ、と思い込む人もとても多いので実際にはもっと多くの人が副腎疲労を起こしている可能性は高いと思います。
倦怠感や集中力のなさに悩まれている方は、一度クリニックなどで検査を受けてみることをおすすめします。

適切な治療やケアをしていくうちにすっかり元気になった私。
そして、やはり健康の基本はストレスフリーにある、とつくづく実感している日々です。